今年の全日本カート選手権最高峰であるOK部門は4月19日にツインリンクもてぎにて開幕する。今年はオリンピック開催の影響を受け、年の後半にレースが立て続けに行われるスケジュールが取られているが、一体どのようなシーズンになるのだろうか。
今回は開幕1か月前の現時点で集まった情報をもとに、2020シーズンのOK部門ドライバーラインナップを予想。チーム移籍や下位カテゴリーからのステップアップ、さらにはマテリアル面での勢力図の変化など、すでに水面下での戦いが繰り広げられているようだ。さっそく作成した予想エントリーリストを見ていこう。
チーム移籍・最高峰復帰などにより濃いメンバーが集結
昨シーズンは開幕戦の時点で30名、最終的にはスポット参戦も含め33名のドライバーが競い合ったOK部門。2020シーズンも29名と、例年と比較しても多数のメンバーが集結すると予想される。まずは各チームごとにドライバーラインアップを見ていこう。
まず昨シーズンチャンピオンに返り咲いた佐々木大樹を有するTONYKART RTJ。高橋悠之、宮下源都を有するラインナップに大きな変化はないが、サテライトチームであるVITECから岩崎有矢斗が昇格し、4名が参戦するとみられる。
INTREPID JAPAN CORSEは1月時点で体制を発表済み。開幕戦で目覚ましい活躍をした佐藤凌音を続投しつつ、FS-125からのステップアップである大宮賢人を起用。16歳の若きコンビで最高峰カテゴリーに切り込んでいく。
TEAM WOLFは最終戦で優勝した森山冬星を続投。そこに金子修と、昨シーズンFP-3で活躍、2016年の茂原大会以来の最高峰カテゴリー復帰となる佐々木大河の3名体制を取った。シャーシは3人ともPragaを使用する。
FA-KARTがOTKでの生産を終了したことに伴いFA-KART RTが消滅。これに伴い久々のKOSMICワークスとなるTeam KOSMIC Kartingが誕生するとみられる。ドライバーはFP-Jrからのジャンプアップとなる小椋梓が参戦するか。
Team BirelARTはFS-125でシリーズ3位を獲得した荒尾創大を起用。今年は一台がBirelARTワークスとして参戦する。
昨シーズンTeam BirelARTから出場していた木内秀柾はNEXUS Competitionへ移籍し、2年目の挑戦を行う。NEXUS Competitionは2017年以来の最高峰復帰だ。シャーシはSuper WinForceを採用するとみられる。
TEAM EMATYは山田杯利がタイヤメーカーを変更しつつ続投、そこに平安山良馬が加わった2台体制を取る。
XENON RT&BAMZOは綿谷浩明が継続参戦。OK唯一となるXENONで戦っていく。
大所帯となるのがDrago Corseだ。昨シーズン2位の渡会太一や皆木駿輔、三村壮太郎を筆頭に、なんと7名のドライバーを送り込む。FS-125シリーズ2位の星涼樹と清水啓伸は順当なステップアップだが、昨シーズンRMC-JPのSeniorクラス1位を獲った遠藤照剛もOK部門に参戦。去年INTREPID JAPAN CORSEで戦った水野皓稀もDrago Corseへチーム移籍を行った。
欧州で活躍するKRのワークスチームとなるKR RACINGは2年目となる大木一輝を続投。マシン、ドライバーともに熟成を重ねる。
ADVAN HIROTEXは2018年以来の最高峰復帰となる平良響を起用。平良響にとって2年前とはほぼ全てのマテリアルが異なる環境での参戦となる。
長らく朝日ターボとペアで戦ってきたMASUDA RACING PROJECTは、FS-125チャンピオンの野村勇斗を起用し2台体制を取った。
TOYOTA TAKAGI RTは成長を見せる井本大雅を先頭に、2年目となる新原光太郎、渡部樹が継続参戦。今年は3台体制となった。
スポット参戦を含めラインナップから姿を消したのは、冨田自然、古谷悠河、大草りく、高木悠帆、伊藤琢磨、小高一斗、堀尾風允、佐藤蓮、奥住慈英、辻本始温、ヤニック・デ・ブラバンダー、野中誠太、坂入悠斗、廣岡陸勢、阿部光、林蕗偉の計16名。残念ながらSUCCEED SPORTS Jr.とnutec.LCT briolyの2チームは今年参戦しない模様。
ルーキードライバーは岩崎有矢斗、大宮賢人、金子修、小椋梓、荒尾創大、平安山良馬、星涼樹、清水啓伸、遠藤照剛、野村勇斗の10名。最高峰復帰組は平良響と佐々木大河の2名だ。
BSが圧倒的シェア率を維持 対抗メーカーは体制が変化?
OKといえば日本が誇る3台タイヤメーカーによるタイヤ戦争だが、今年もかなり激しい戦いが繰り広げられるだろう。
BRIDGESTONEは昨シーズンに引き続き圧倒的なユーザー数を有する。シェア率は62%と昨年をわずかに上回り、今年もBSが路面コンディションを支配するのはまず間違いない。開発体制にも大きな変化は無く、ディフェンディングチャンピオンとして万全の構えを取ってきている。
対してDUNLOPは第二勢力を維持。皆木駿輔、朝日ターボを含む5名が継続参戦する安定的な体制だが、さらに昨シーズンのFS-125のシーズントップ2を加えるという強力な布陣を取っている。しかし開発担当者が変更になったという話も小耳に挟んでおり、今シーズンの行方は気になるところである。
YOKOHAMAはドライバー数にこそ変化が無いものの、ラインナップは三村壮太郎以外の3人が共に他社タイヤユーザーからの転向となる。さらに今年は三村壮太郎が開発ドライバーから外れ、平良響と水野皓稀の2名が担当するという噂も聞こえてきた。昨シーズンの惨敗を払拭すべく開発体制にも変化があったというが、2018年の栄光を蘇らせることができるのか。
TMエンジンがほぼ独占 シャーシはDrago Corseがシェアを伸ばす
エンジンの勢力図を見ていこう。3メーカーで拮抗していた昨シーズンから大きく変化し、TMエンジンがほぼ独占する形となると見れている。VORTEXはOTKブランド、IAMEはBirel系ブランドのユーザーとTEAM WOLFの2名が使用するのみに留まる。やはりKF時代からチューニングの幅が狭められているOKでは、中速トルクの太さを持つTMがスペシャルタイヤにマッチしやすく、ユーザーからの信頼を得ているのか。ただし現行型OKエンジンも今年で2年目となるので、さらなるアップデートを重ねた結果勢力図が変化する可能性も残されている。
シャーシはCRGとFA-KARTが姿を消してしまった以外ラインナップに変化はないが、ついにDrago CorseがOTKブランドに拮抗するまでにユーザー数を増加させた。他にはSuper WinForceの復帰やPragaが3台参戦などが注目のポイント。少数派シャーシも速さを見せているので、彼らのマシンメイクにも注目していきたい。
関連情報
【全日本カート】2020年のレーススケジュール発表 APGがOK部門を担当 | Paddock Gate
2019年10月31日、JAFより2020年の全日本/ジュニアカート選手権のスケジュールが発表されました(公示No.2019-WEBK13)。
2020全日本カートもてぎは全クラスで周回数が増加 OK決勝は36周→30周 | Paddock Gate
【追記】2020年2月20日に特別規則書が改定され、一部周回数が減算されました。2020年2月14日、2020全日本カート選手権ツインリンクもてぎ大会(開催日:2020年4月18日~19日)の特別規則書が発表された。